モン・サン・ミッシェルとその湾



  モン・サン・ミッシェル修道院(現在もベネディクト派の修道院として使用されている)は
  フランス西北部のノルマンディー半島の付け根付近のモン・サン・ミッシェル湾に在る、
  周囲約900mという小島の頂上に造られた修道院です。言い伝えに寄れば709年に司教である
  オヴェールの夢枕に大天使ミカエルが現れ、大天使を祀る聖堂の建設を命じたといいます。

  島の頂上(トンブ山、標高約80m)に建てられたので、かなりの難工事になり、完成したのは
  16世紀頃と言われてます。11〜12世紀にはロマネスク様式の僧院が出来上がり、13世紀には
  ゴシック様式の教会が造られました。途中の14世紀には英仏百年戦争の巻き添えを喰って、
  修道院の周囲には、城壁や物見の塔などが造られて要塞化しました。建築様式は長期間に
  渡った工事の為ロマネスク、ゴシック、ルネッサンスなどの様式が併存しております。

  島へは干潮に干潟を通って行かなければならなく、満潮の時は潮の流れが速くて危険でした。
  19世紀になってようやく防波堤が築かれ、1870年には島と陸を繋ぐ道路が出来上がりまして、
  ようやく安全に島へ渡れるように成りました。しかしこの工事により砂が集まって来て、
  今では海水が無くなり干潟になってしまい、海の中に浮かぶ昔の姿が見られなく成りました。

  城壁の入口に在る駐車場までの道が舗装され、車で行ける様に成ったのは最近の事です。
  モン・サン・ミッシェル修道院とその湾が世界遺産に指定されたのは1979年でした。

  モン・サン・ミッシェルへはパリのモンパルナス駅からTGVに乗り、レンヌまで行きます。
  所要時間は約2時間10分です。レンヌ駅からは直通バスが有り、約1時間15分で着きます。
  このコースですとパリから日帰りが出来ます。又パリからは数社の日帰り観光ツアーバスも
  出ておりますのでそれを利用するのも楽です。島の中にはホテルやレストランが多く有り、
  島の中に泊まって朝日や夕陽を眺め、ゆっくりと見学する事も出来ます。



 モン・サン・ミッシェル遠望

 誰もが写真に撮る毎度お馴染みの
 構図ですが、やはりこれが無いと
 モン・サン・ミッシェルらしく
 ないので入れておきました (^^ゞ

 まるで海の上に浮いている様に
 見えており、幻想的な姿で、
 文豪のヴィクトル・ユーゴや
 モーパッサンなども訪ねている
 フランス有数の名勝です。




















   海岸から見た「自由塔」付近の城壁       「ブクル塔」付近の城壁と回廊

  この島は14世紀に始まったフランスとイギリスの百年戦争に巻き込まれ、断崖のある北側を
  除き、島の海岸線に沿って城壁を造り、要所要所に物見の塔を造りました。北側から「北塔」
  「ブクル塔」「低塔」「自由塔」「王塔」「ガブリエル塔」などがあります。これらの城壁や塔により
  (遠浅の干潟も味方しており)イギリス軍からの攻撃に耐え、敗北から免れたといいます。




 大砲と石の弾丸

 外壁の門を入った広場に置いてあった
 物ですが、この大砲はかなり古い物で、
 余り見たことの無い形式の砲身です。

 砲身が青銅でなく、鉄を使用している
 のは以外でした。当時としては、かなり
 珍しい物ではないかと思われます。

 砲弾にはまだ石が使われておりました。
 それにしても手作りで丸い石の砲弾を
 作るのは大変だった思います。




 町への入口にある跳ね橋

 この門を入って行く道が「グランド・リュ」
 と呼ばれるこの島のメインストリートで、
 修道院の入口まで続いております。

 島全体を要塞化しているので、外壁の
 門を破って侵入した敵から町を守る為に、
 街の入口にこの様な、防御の為の楼門と
 跳ね橋が造られたのでしょう。

 この細いメインストリートの両側には
 多くのレストラン、ホテル、お土産屋が
 ずらりと並んでおり、年間200万人を
 越える観光客の相手をしています。

 聖地であったモン・サン・ミッシェルは、
 昔はフランス有数の巡礼地でしたが、
 今ではフランス有数の大観光地で、
 「フランスの江ノ島」みたいでした (・_・;




 島の頂上に建つ修道院

 これは島を囲む城壁の南側に在る
 「自由の塔」付近から見た修道院の
 全貌ですがまるで城砦の様です。

 この修道院は島の中心的存在で
 966年にベネディクト派の
 僧院として建てられました。

 13世紀の初めには僧院の北側に
 3階建ての教会が増築されまして
 「ラ・メルヴェイユ(驚異)」と
 呼ばれています。




















     屋上の回廊と中庭            瞑想して歩く為の回廊

  ここは修道院の北西の屋上に造られた回廊です。カトリックの修道院には必ず修道士が
  歩きながら瞑想をする為の回廊が作られております。その形式は何処でも共通しており、
  中庭を囲む四角い屋根付きの回廊で、雨が降っている時でも歩けるように成っています。




 屋上から見た干潟と島

 僧院の屋上から見た近くに在る小島と
 周囲の干潟です。まったくの遠浅で
 完全な泥の海という感じです。

 これでは、干潮には大型船が寄り付けず、
 英仏戦争の時はこの干潟の方が
 城壁よりも強力な防御壁に成った様です。

 現在はこの干潟を元の海に戻す為の
 取り組みが成されており、昔のように
 海に浮かぶ姿が戻って来るでしょう。




 α(アルファー)からΩ(オメガ)

 修道院には修道士の為の大食堂や作業場、
 寝室などが作られておりますが、ここは
 死体安置所に使われていた部屋です。

 ここに有った墓標のような石に書かれた
 文字はギリシャ文字のα(アルファー)と
 Ω(オメガ)でした。

 これは「最初から終わり」を意味しており、
 人間の一生を表しております。

 修道士はこの修道院へ入ると死ぬまで
 ここで修行と瞑想の生活を過ごし、
 死ぬとここへ葬られたのでしょう。




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